カテゴリー: 家族と将来

8050問題・住宅ローン・入院費など、家族と将来のお金の記事。

  • 8050問題、親が亡くなった後のお金:年金・住まい・生活保護・相談先

    8050問題、親が亡くなった後のお金:年金・住まい・生活保護・相談先

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    情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:社畜眼鏡 編集部。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医


    この記事の位置

    この記事は「家族と将来」カテゴリーの記事です。仕事を辞める前後のお金の制度全体は「仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番」、本人がすでに障害年金の対象になりうるかは「うつ病で障害年金はもらえる?対象・等級・金額と、働きながらの扱い」、当面の生活費の考え方は「生活防衛資金はいくら?」もあわせてご覧ください。

    親が亡くなった後、まず確かめること(先に答え)

    親が亡くなった後のお金は、年金・住まい・生活保護・相談先の4つに分けて考えると整理しやすくなります。親の年金は、そのままでは本人に引き継がれません。生活に困るときは生活保護を申請できますが、相続したお金など、使える資産を生活に使うことが原則です(例外もあり、資産の種類や世帯の状況で扱いが違います)。兄弟など親族に先に相談しなければ申請できない、ということはありません。具体的には、お住まいの地域の福祉事務所や相談窓口に相談してください。

    この記事でわかること

    • 親が亡くなったとき、本人(成人した子)が遺族年金を受け取れるとは限らないこと(年齢の要件があります)。死亡月分までの未支給年金は別に請求できる場合があること
    • 相続放棄には期限があり、親が亡くなる前には手続きできないこと
    • 実家に住み続けたい場合、生活保護を利用しても自宅を手放さずに済むことがあること。ただし相続した預貯金や保険金、実家の資産価値、住宅ローンの残債によっては扱いが変わること
    • 生活保護は権利であり、資産・能力を活用したうえでの制度であること。扶養照会は申請の条件ではないこと
    • 本人がすでに受けている障害年金も、更新の審査で減額・支給停止になり得ること
    • 成年後見制度の本来の目的と、後見人等への報酬を誰が決めるか
    • 本人・家族それぞれが使える相談窓口(ひきこもり地域支援センター・自立相談支援機関・地域包括支援センター)

    今とてもつらいときは、この記事より先に相談先へ。 #いのちSOS 0120-061-338(毎日24時間)/よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)


    「親がいなくなったら」を、4つに分けて考える

    いわゆる「8050問題」は、80代の親と50代の子など、親が高齢になっても同居する成人した子どもがいる家庭で、親が亡くなった後の生活をどう支えるかが課題になる状況を指す言葉として使われています。仕事を辞めたい・すでに退職している・引きこもりの状態にあるなど事情はさまざまですが、「親が亡くなった後、自分はどうやって生活していくのか」という不安は共通しています。

    この記事では、その不安を「年金」「住まい」「生活保護」「相談先」の4つに分けて、公的資料で確かめられる範囲を整理します。個別の投資判断や、資産をいくらまで増やせるかという試算はこの記事の対象外です(当面の生活費の考え方は別記事「生活防衛資金はいくら?」で扱っています)。


    1. 年金:親の年金は、そのままでは本人に引き継がれない

    遺族年金は、成人した子には出ないことが多い

    「親が亡くなったら年金で援助してもらえるはず」と考える人もいますが、遺族年金には受け取れる人の範囲と年齢の要件があります。日本年金機構の説明によると、遺族基礎年金を受け取れるのは「1.子のある配偶者 2.子」で、ここでいう「子」とは「18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方」に限られます(出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」)。

    遺族厚生年金も、受け取れる遺族の中に「子」「孫」が含まれますが、年齢の要件は遺族基礎年金と同じです。子のない配偶者(30歳未満の妻は5年間のみ、夫は55歳以上に限り60歳から)や、父母・祖父母(55歳以上に限り60歳から)にも受給できる場合がありますが、いずれも配偶者・父母・祖父母としての要件であり、成人した子自身がこの枠で受け取れるわけではありません(出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」)。

    つまり、8050問題で想定されるような「50代の独身の子」は、年齢要件から外れるため、親が亡くなっても遺族年金を新たに受け取れるとは限りません。ここは、公的な援助を計画するうえで最初に確認しておきたい点です。

    未支給年金は、遺族年金とは別に請求できる場合がある

    遺族年金が受け取れない場合でも、親が死亡した月の分までの年金のうち、まだ振り込まれていない分(未支給年金)は、亡くなった親と生計を同じくしていた遺族が請求できる場合があります。請求できる遺族には優先順位があり、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他の3親等内の親族の順で、先の順位の人がいれば後の順位の人は請求できません(出典:日本年金機構「未支給年金」)。年齢要件がある遺族年金とは別の制度なので、成人した子であっても、親と生計を同じくしていれば請求できる可能性があります。該当するかどうか、必要な書類は年金事務所に確認してください。

    本人がすでに障害年金を受給している場合

    本人自身がうつ病や発達障害などで障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)をすでに受給している場合、その年金は親の生死とは別の要件(初診日・保険料納付要件・障害の状態)で決まっています。親が亡くなったこと自体を理由に年金が止まることはありません。ただし、障害の状態を確認する必要がある人には、指定された時期に「障害状態確認届」(診断書)の提出が求められることがあり、その審査の結果、障害の状態が軽くなったと判断されれば、等級の変更・減額や支給停止になることがあります(出典:日本年金機構「障害状態確認届」)。つまり「本人の障害年金は続く」と言い切れるのは、障害の状態が変わらず、確認届の審査を通った場合であり、自動的に一生同じ額が続くと決まっているわけではありません。対象になる傷病や等級、金額の詳しい説明は別記事「うつ病で障害年金はもらえる?」で扱っています。

    なお、公的年金には「異なる支給事由(老齢・障害・遺族)の年金を2つ以上受けられるようになったときは、原則いずれか1つを選択する」というしくみがあります。ただし65歳以降は、組み合わせによって障害年金と遺族年金の両方(またはその差額)を受け取れる場合があります(出典:日本年金機構「年金の併給または選択」)。本人がすでに障害年金を受けていて、将来遺族年金の対象にもなりうる場合(配偶者になったときなど)は、どちらを選ぶかを年金事務所で確認する必要があります。


    2. 住まい:実家に住み続けられるかどうか

    親が亡くなった後、実家をどうするかも大きな問題です。ここでは「住み続ける」ことを前提に、公的資料で確認できる点を整理します。

    生活保護を利用しても、住んでいる家をすぐに手放す必要はない場合がある

    生活保護は、資産・能力等あらゆるものを活用することを前提に必要な保護が行われる制度です。厚生労働省の資料では、土地・家屋について「原則売却」としつつ、「現に居住の用に供されているものについては、処分価値が著しく大きいものを除き、保有を容認」するとされています(出典:厚生労働省「生活保護制度」)。つまり、実際に住んでいる家であれば、資産価値が著しく大きい場合を除いて、生活保護を利用しながら住み続けられる場合があります。ただし「著しく大きい」の判断は個別の事情によるため、正確な扱いは福祉事務所に確認してください。

    この判断には、実家の土地建物そのものの価値だけでなく、相続した預貯金や生命保険金の額、実家に住宅ローンの残債があるかどうかも関係します。資産がまとまってあると判断されれば、生活保護の申請時点でその資産を先に使うよう求められることがあり、また保護を受けたあとに預貯金や不動産などの資産が見つかった場合は、生活保護法第63条にもとづき、それまでに受けた保護費の範囲内で返還を求められることがあります(出典:厚生労働省「生活保護制度」のほか、生活保護法第63条の運用に関する各種資料)。福祉事務所から実家の売却を勧められる(処分指導を受ける)場合もあり、その判断は個別の資産状況によるため、この記事だけでは判定できません。

    相続の前に、決めておくとよいこと

    親が元気なうちに、誰が家をどう相続するかを話し合っておくことは、後のトラブルを避ける手段の一つです。一方で、相続放棄(相続する権利そのものを放棄すること)は、親が生きている間(相続が開始する前)には行えません。相続放棄は、親が亡くなって相続が始まったことを知った時から原則3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなるため、実家や親の資産・借金の状況を把握したら、早めに家庭裁判所や弁護士・司法書士、法テラスに相談することをすすめます。判断能力が不十分になったときに財産管理を任せる仕組みについては、次の「成年後見制度」で公的資料で確認できる範囲を説明します。

    成年後見制度は「奪う」ための制度ではない(報酬の例は大阪家庭裁判所・令和7年4月の目安)

    成年後見制度は、裁判所の説明によると「認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人(『後見人』等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度」です。判断能力の程度に応じて「補助」「保佐」「後見」の3つの類型があります(出典:裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要を知りたい方へ」)。目的は本人の財産と契約を守ることであり、本人から自由を奪うことを目的にした制度ではありません。

    費用については、後見人等への報酬は家庭裁判所が、後見人等の働いた期間や被後見人の財産の額・内容、行った事務の内容などを考慮して決定し、本人の財産の中から支払われます。全国一律の料金表があるわけではなく、金額は家庭裁判所ごとの目安と、個別の審判によって決まります。実際の金額を知りたい場合は、まず自分が住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に、その時点の目安を確認することをすすめます。一例として、大阪家庭裁判所・大阪家庭裁判所堺支部・大阪家庭裁判所岸和田支部が示す目安(令和7年4月公表分)では、通常の後見事務を行った場合の基本報酬は月額2万円、管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合は月額3万円〜4万円、5,000万円を超える場合は月額5万円〜6万円がめやすとされています(出典:大阪家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」令和7年4月)。この金額は大阪家庭裁判所が示す目安であり、他の地域の家庭裁判所では目安の金額が異なる場合があります。実際の金額は資産状況や後見人等が行った事務の内容によって個別の審判で決まるため、自分が住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に確認してください。

    利用するかどうか、どの類型を選ぶかは、本人の判断能力の状態や財産の状況によって変わります。検討する場合は、まず家庭裁判所や地域の権利擁護の相談窓口(後述の地域包括支援センターなど)に相談することをすすめます。


    3. 生活保護:権利であることと、確認しておきたい要件

    生活保護は、生活に困窮する人に対して、資産・能力その他あらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用することを前提に、必要な保護が行われる制度です(出典:厚生労働省「生活保護制度」)。厚生労働省が生活保護を申請したい人向けに出しているページには、「利用しうる資産を活用することが保護の要件ですが、例外もあります」「扶養義務者の扶養は保護に優先しますが、例えば、同居していない親族に相談してからでないと申請できない、ということはありません」と説明されています(出典:厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」)。

    つまり、扶養照会(親族に援助できるか確認の連絡がいくこと)は申請の条件ではなく、親族に事前に相談しなければ申請できないわけでもありません。「働いていない・親を頼れない」ことを理由に申請をためらう必要はない、という点は動画の説明と方向性は一致します。ただし、実際に受けられる保護費の金額は世帯の状況や地域ごとの基準で決まり、この記事では金額の計算はしません。申請や要件の詳しい確認は、お住まいの自治体の福祉事務所に相談してください。

    なお、自立支援医療や障害年金など、医療・年金にかかわる制度との関係は別記事で扱っています。生活保護と他の制度を同時に検討する場合は、福祉事務所と、それぞれの制度の窓口の両方に確認することをすすめます。


    4. 相談先:本人と親、それぞれの窓口

    8050問題では、本人と親のそれぞれに相談窓口があります。役割で分けると次のとおりです。

    • ひきこもり地域支援センター:厚生労働省の説明では「ひきこもり状態にある方やその家族へ相談支援を行い、適切な支援に結びつけます。また、地域における関係機関とのネットワークの構築や、ひきこもり支援に係る情報の幅広い提供等」を行う、地域の拠点です(出典:厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」)。本人からの相談だけでなく、家族からの相談も受け付けています。
    • 自立相談支援機関(生活困窮者自立支援制度):生活費が足りない、仕事が続かないなど、生活と就労にかかわる相談を、お住まいの市区町村の窓口で無料で受け付けています(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の体系」)。
    • 地域包括支援センター:親が高齢の場合、親自身の相談窓口になります。厚生労働省の説明では「地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援すること」を目的とした機関です(出典:厚生労働省「地域包括支援センター」)。親の介護や将来の生活について、親が元気なうちに一緒に相談しに行くこともできます。

    どこに相談してよいか分からないときは、まずお住まいの市区町村の福祉担当窓口、またはひきこもり地域支援センターに問い合わせると、必要な窓口につないでもらえます。


    よくある質問

    働いたことがないまま親が亡くなったら、生活保護は受けられますか

    生活に困っていれば申請できます。生活保護は、資産や働く力など、使えるものを生活のために使うことを前提に、足りない分を保護する制度です。受けられるか、いくらになるかは世帯の状況や地域の基準で決まるので、福祉事務所に相談してください(厚生労働省「生活保護制度」「生活保護を申請したい方へ」)。

    相続でお金が入ると、生活保護は受けられませんか

    使える資産を活用することが保護の要件で、相続したお金があれば、それを生活に使うことが原則になります。ただし例外もあるとされ、資産の種類や世帯の状況によって扱いが違います。手元の資産と生活の状況を伝えて、申請の時期や資産の扱いを、早めに福祉事務所に相談してください。

    兄弟が面倒をみないといけませんか

    厚生労働省は、扶養義務者の扶養は保護に優先するとしながら、同居していない親族に相談してからでないと申請できない、ということはないと説明しています。親族に援助できるかの確認(扶養照会)が行われることはありますが、申請の条件ではありません。

    元にした動画

    この記事は、YouTubeチャンネル「社畜眼鏡」の次の動画をもとにしています。動画の説明と公式の資料が違う点は、この下で書いています。

    動画との違い

    元にした動画は、成年後見制度について「一度ついたら死ぬまで毎月数万円の報酬をあなたの資産から支払い続ける」「あなたを守るためという名目であなたの自由を奪い、資産を削っていく」と説明していますが、この記事で確認した範囲では、成年後見制度の目的は本人の権利を守ることであり、報酬は家庭裁判所が本人の財産の額や後見人等が行った事務の内容などを考慮して決定するものです。報酬額の目安(月額2万円〜、財産額が大きい場合は3万円〜6万円程度)も家庭裁判所が公表している資料にもとづいています。

    生活保護についても、動画は「日本国憲法が認めたあなたの正当な権利」と説明しており、この方向性自体は厚生労働省の説明と一致します。ただし、動画には資産の活用や扶養照会の扱いなど、申請の要件についての説明がありません。この記事ではその部分を補いました。

    また、動画にある「研究データでもこの最後の逃げ場を認識している人ほど不安行動が減ることが分かっています」という説明は、出典を確認できなかったため、この記事には書いていません。全世界株式などへの投資を前提にした資産寿命の試算も、特定の商品を勧める内容になるため、この記事では扱いません。投資を検討する場合の考え方は、生活費の確保を優先したうえでの話であり、別記事「生活防衛資金はいくら?」で説明しています。


    困ったときの相談先

    • 生活が苦しい・今後の生活が不安:お住まいの市区町村の生活困窮者自立相談支援機関(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の体系」)
    • 本人・家族のひきこもりの相談:都道府県・指定都市が設置するひきこもり地域支援センター(出典:厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」)
    • 親(高齢者本人)の生活・介護の相談:お住まいの地域の地域包括支援センター(出典:厚生労働省「地域包括支援センター」)
    • 生活保護の申請・要件の確認:お住まいの市区町村の福祉事務所
    • 成年後見制度・相続の相談:家庭裁判所、法テラス、弁護士・司法書士などの専門家


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    出典一覧

    訂正履歴

    • なし(初版・2026年9月24日)
    • 2026年10月23日:冒頭に「親が亡くなった後、まず確かめること」と、「よくある質問」を足しました(内容の訂正ではありません)。
    • 2026年10月23日:目次を足しました(内容の訂正ではありません)。

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    うつ病の通院歴があるときの住宅ローン:団信の告知と、返済が苦しいときの相談先

    この記事に広告はありません。

    情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:社畜眼鏡 編集部。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医


    この記事の位置

    この記事は、住宅ローンを組む前・組んだ後にうつ病の通院歴がある人が確かめておきたい2つのこと(団体信用生命保険の告知、返済が苦しくなったときの相談先)を扱います。医療保険・生命保険全般の考え方は「精神科の入院費用は高額療養費でいくらまで?」、休職・退職前に確かめる公的制度は「仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番」もあわせてご覧ください。

    まず押さえておきたい3行

    • 民間の住宅ローンの多くは、団体信用生命保険(団信)への加入が融資の条件になっています。うつ病の通院歴があっても、告知の内容と保険会社の審査結果によっては加入できる場合があります。
    • 団信の告知書には、ありのままの事実を記入する義務があります。事実と違う告知をすると、万一のときに保険金が支払われず、住宅ローンの残りを自分(または遺族)が返済し続けることになりかねません。
    • 返済が苦しくなったときは、まず借入先の金融機関(フラット35の場合は取扱金融機関)に相談してください。返済期間の延長や返済額の見直しに応じる制度があります。

    この記事でわかること

    • 団体信用生命保険(団信)とは何か、加入は必須なのか
    • 告知書に何を書く必要があるか、告知義務とは何か
    • 告知の内容が事実と違うとどうなるか(「ばれる」と検索する人が本当に確認すべきこと)
    • うつ病の通院歴があっても住宅ローンを組む選択肢(ワイド団信という制度の一般的な説明)
    • 住宅ローンを組んだ後にうつ病になった場合に確認すること
    • 返済が苦しくなったときの相談先と、条件変更の仕組み

    今とてもつらいときは、この記事より先に相談先へ。 #いのちSOS 0120-061-338(毎日24時間)/よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)


    団体信用生命保険(団信)とは何か、加入は必須か

    団体信用生命保険は、住宅ローンの利用者が死亡したり所定の高度障害状態になったりしたときに、保険金でローンの残りが完済される仕組みの保険です。契約者と保険金の受取人は金融機関側で、被保険者はローンを借りている本人です(出典:公益財団法人生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」)。

    ここで確認しておきたいのは、支払事由は「死亡」「所定の高度障害状態」が基本であり、うつ病そのものによる通院・休職・就労不能は、それだけでは一般的な団信の支払事由にあたらないということです。通院中・休職中・働けない状態であっても、死亡や高度障害の状態に至らない限り、団信からローンが完済されるわけではなく、その間の返済は続きます。保障の範囲は団信の種類や契約(特約の有無など)によって異なるため、うつ病を保障の対象に含む特約があるかどうかは、加入している(加入を検討している)団信の契約内容で個別に確認する必要があります。

    民間の金融機関では、住宅ローンの利用条件として団信への加入を義務づけている場合が多くなっています(出典:同上)。つまり、多くの民間ローンでは団信に加入できないと、その金融機関では住宅ローンを組めません。

    一方、住宅金融支援機構の【フラット35】は例外で、団信への加入は任意です。公式サイトには「健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合も【フラット35】をご利用いただけます」と明記されています(出典:住宅金融支援機構【フラット35】「団体信用生命保険」)。ただし、この場合は万一のときにローンの残りが保険金で完済される仕組みがなくなるため、自分や家族がその後も返済を続けることになります。

    どちらの場合も、「うつ病の通院歴がある=住宅ローンを組めない」と一律に決まるわけではありません。加入できるかどうかは、告知の内容と保険会社の審査によって個別に決まります。

    告知書に何を書く必要があるか

    団信も生命保険の一種なので、加入の際には告知書に健康状態を記入する必要があります(出典:公益財団法人生命保険文化センター、同上)。フラット35の「新機構団体信用生命保険制度申込書兼告知書」について、公式サイトは次のように説明しています。

    記入・入力日(告知日)現在のありのままの状態をご本人がもれなく正確にご記入・ご入力いただく必要があります (出典:住宅金融支援機構【フラット35】「団体信用生命保険」)

    何を告知する必要があるか(過去何年分の通院歴か、投薬中の病名まで含むかなど)は保険会社ごとに告知書の様式・基準が異なります。この記事に、どの保険会社でも通る基準は載せていません。実際の告知項目は、住宅ローンを申し込む金融機関から渡される告知書そのもので確認してください。自己判断で「これは書かなくていい」と決めず、迷う項目があれば金融機関の窓口に確認することをすすめます。

    告知の内容が事実と違うとどうなるか

    ここが「住宅ローンうつ病ばれる」と検索した人に、まず確認してほしいことです。この記事では、告知をごまかす方法は書きません。告知しなかった場合に何が起きるかという事実を説明します。

    生命保険一般について、公益財団法人生命保険文化センターは次のように説明しています。

    告知義務違反があった場合、責任開始日から2年以内であれば、生命保険会社は契約を解除することができます (出典:公益財団法人生命保険文化センター「病歴があったのに告知するのを忘れていたら?」)

    告知義務違反により契約・特約が解除となり、保険金・給付金が受け取れないことがあります(告知義務違反となった事実と支払事由との間に因果関係が認められない場合は受け取れます) (出典:同上)

    ここで注意したいのは、「2年を過ぎれば告知義務違反があっても問題にならない」とは言い切れない点です。同センターの説明では、告知義務違反の内容が詐欺にあたるほど重大な場合は、2年を経過していても詐欺による取消の対象になり得るとされています。また、契約から2年以内に実際に死亡・高度障害などの支払事由が起きていた場合は、2年を過ぎてから発覚しても解除の対象になり得ます。「2年」は、告知義務違反を理由にした解除ができなくなるまでの一般的な期間の目安であり、故意や重大な過失、詐欺にあたるような重大な違反、支払事由が2年以内に発生していた場合などには、この目安どおりにならないことがあります。正確な扱いは、加入している(加入を検討している)保険会社の約款や、保険会社の窓口で確認してください。

    フラット35の団信について、住宅金融支援機構の公式サイトは次のように説明しています。

    告知の内容と事実が異なっていた場合には、生命保険会社から住宅金融支援機構に保険金が支払われず債務を弁済できないことがあります (出典:住宅金融支援機構【フラット35】「団体信用生命保険」)

    つまり、告知の内容と事実が違っていた場合に問題になるのは、実際に死亡・高度障害などの支払事由が起きたときに、保険金が支払われずローンの残りが消えないことです。うつ病であることが誰かに知られるかどうかは、問題の中心ではありません。住宅ローン自体がなくなるわけではないので、本人や、本人が亡くなった場合は遺族が、その後も返済を続けることになります。告知は、その場をやり過ごすための手続きではありません。万一のときに保険が実際に機能するかどうかを左右するものです。

    うつ病の通院歴があっても住宅ローンを組む選択肢(ワイド団信)

    一般的な団信の審査が通らない場合の選択肢として、「ワイド団信」(引受基準緩和型団体信用生命保険)と呼ばれる仕組みがあります。公益財団法人生命保険文化センターは、次のように説明しています。

    通常の団信よりも、加入条件が緩和されているもの (出典:公益財団法人生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」)

    糖尿病や高血圧など、健康上の理由で通常の団信に加入しにくい場合でも、ワイド団信であれば加入できる可能性があるとされています(出典:同上)。ただしワイド団信は保険料(住宅ローンの金利への上乗せなど)が通常の団信より高く設定される場合が一般的で、扱っているかどうか・条件・上乗せの幅は金融機関ごとに異なります。この記事は特定の金融機関やワイド団信の商品を勧めるものではありません。うつ病の通院歴がある場合に実際に加入できるかどうか、条件がどうなるかは、告知書の記入項目・保険会社の審査基準によって個別に決まるため、住宅ローンを検討している金融機関の窓口に確認してください。

    フラット35のように団信そのものを任意にできる制度もあります。この場合は団信の保険料がかからない一方、万一のときの保障がない状態でローンを返済し続けることになるため、その分を他の生命保険で備えるかどうかも、あわせて検討する事柄になります。

    住宅ローンを組んだ後にうつ病になった場合に確かめること

    ここまでは、住宅ローンを組む前に通院歴がある場合の告知を中心に説明しました。一方で、住宅ローンを組んだ後にうつ病を発症した、あるいは通院を始めたという場合は、状況が異なります。

    団信の告知は、加入手続きの時点(記入・入力日)の健康状態を申告するものです。加入後に新たに病気になった場合に再度の告知が必要かどうかは、加入している団信の約款や、引受保険会社によって扱いが異なります。借入後に発症した場合に告知の再提出が必要かどうかは、自己判断せず、加入している団信の約款、または引受保険会社に確認してください。

    借入後に発症した場合にまず確認しておきたいのは、次の2点です。

    1. 団信の保障内容:うつ病そのもの、あるいはうつ病による休職・就労不能は、前述のとおり一般的な団信の支払事由(死亡・所定の高度障害状態)にはあたりません。加入している団信に、就業不能や特定の疾病を保障する特約が付いているかどうかは、契約時の書類か、加入している保険会社・金融機関に確認する必要があります。
    2. 返済が苦しくなったときの相談先:うつ病による休職・退職で収入が減り、返済が苦しくなった場合は、団信の保障の有無にかかわらず、次に説明する返済条件の見直しの相談先が使えます。

    うつ病の悪化や再発を防ぐことを最優先にしたうえで、お金の面で困ったときは一人で抱え込まず、早めに金融機関や、後述する公的な相談窓口に相談することをすすめます。

    返済が苦しくなったときの相談先(返済条件の見直し)

    体調の変化などで収入が減り、住宅ローンの返済が苦しくなった場合は、滞納する前に借入先の金融機関へ相談してください。住宅金融支援機構は、返済に困ったときの相談先について次のように案内しています。

    ご返済中の金融機関(融資のお申込先の金融機関)にご連絡ください (出典:住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」)

    同機構は、返済方法の変更メニューとして、離職や病気などで収入が減少した場合の返済期間の延長(Aタイプ)、しばらくの間返済額を減らす方法(Bタイプ)、ボーナス返済の変更・取りやめ(Cタイプ)などを案内しており、いずれも手数料はかかりません(出典:同上)。ただし審査があり、希望どおりにならない場合や、変更によって総返済額が増える場合があります(出典:同上)。

    フラット35以外の民間住宅ローンについて、この記事で確認できたのはフラット35(住宅金融支援機構)側の制度のみです。民間の金融機関にも独自の返済条件変更の相談窓口があるのが一般的ですが、窓口の名称・条件・審査基準は金融機関ごとに異なるため、この記事では内容を一般化せず、契約している金融機関に直接確認することをすすめます。返済が苦しいことを黙って滞納を続けるより、早い段階で相談するほうが、選べる選択肢が残りやすくなります。


    元にした動画

    この記事は、YouTubeチャンネル「社畜眼鏡」の次の動画をもとにしています。動画の説明と公式の資料が違う点は、この下で書いています。

    動画との違い

    元にした動画では、住宅ローンを「国と銀行が作った、あなたを逃がさないための首輪」「持ち家は監獄」などと表現し、住宅ローンを組むこと自体を強く否定しています。また「銀行はうつ病になろうがパニック障害で働けなくなろうが、1円の容赦もなくローンを回収しに来る」と説明していますが、この記事で確認したとおり、住宅ローンには団体信用生命保険という、死亡・高度障害時にローンの残りが完済される仕組みが用意されている場合が一般的で、返済が苦しくなったときの返済条件変更の相談窓口も金融機関側に用意されています。動画はこの2点に触れていません。

    この記事は「住宅ローンを組むべきか、組まないべきか」には答えません。組む前に確かめておくとよいこと(団信の告知義務)と、組んだ後に苦しくなったときに確かめられること(返済条件の相談先)の事実を、公的機関の説明の範囲で示しています。


    相談先

    • 団信の告知内容・加入条件の確認:住宅ローンを申し込む(申し込んだ)金融機関の窓口。フラット35の場合は住宅金融支援機構のウェブサイトでも制度の説明を確認できます。
    • 返済が苦しいときの返済条件の相談:借入先の金融機関(フラット35の場合は取扱金融機関)。
    • 生活費全般が苦しい・家計の立て直しの相談:お住まいの市区町村の生活困窮者自立相談支援機関。
    • 心のつらさの相談:厚生労働省「まもろうよ こころ」に掲載の窓口(#いのちSOS 0120-061-338・毎日24時間、よりそいホットライン 0120-279-338・24時間など)。番号・受付時間は変更される場合があるため、公開直前に同ページで再確認してください。

    出典一覧

    • 公益財団法人生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」 https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/644.html (2026年9月24日確認/団信の仕組み、民間ローンでの加入義務づけ、ワイド団信、告知義務について記載)
    • 公益財団法人生命保険文化センター「病歴があったのに告知するのを忘れていたら?」 https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/146.html (2026年9月24日確認/告知義務違反時の契約解除・保険金不払い・因果関係の有無による扱い・詐欺にあたる重大な違反は2年経過後も取消の対象になり得る点を記載)
    • 住宅金融支援機構【フラット35】「団体信用生命保険」(新機構団体信用生命保険制度) https://www.flat35.com/danshin_menu/ 、加入要件ページ https://www.flat35.com/danshin_menu/shin-danshin/kanyuu.html (2026年9月24日確認/告知義務、加入が任意であること、告知内容と事実が異なる場合の扱いについて記載)
    • 住宅金融支援機構「月々の返済でお困りになったとき」 https://www.jhf.go.jp/hensai/hensai/komatta.html (2026年9月24日確認/返済方法変更の相談窓口、A・B・Cタイプ、手数料、審査について記載)
    • 厚生労働省「まもろうよこころ」(相談窓口の電話番号・受付時間) https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ (2026年9月24日確認)

    訂正履歴

    • なし(初版・2026年9月24日)
    • 2026年10月23日:目次を足しました(内容の訂正ではありません)。

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