社畜眼鏡のお金と制度ノート

休む・辞める前に確かめること

カテゴリー: 使える制度

傷病手当金・失業保険・自立支援医療・精神障害者保健福祉手帳・障害年金など、休職や退職のときに確かめたい公的制度の記事。

  • うつ病で休むときの傷病手当金:もらえないケースと、2回目はあるのか・切れた後

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    情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:合同会社フーレ。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医

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    この記事の位置

    この記事は、ピラー記事「仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番」の中の傷病手当金を詳しく扱う記事です。退職して失業保険に切り替える人は「うつ病で退職したときの失業保険」の記事も、休職が長引きそうな人は「生活防衛資金はいくら?」の記事もあわせてご覧ください。

    まず押さえておきたい3行

    • 傷病手当金は「給与が出ていない・働けない・連続3日を含み4日以上休んだ」ことなどが条件で、条件を欠くと支給されません。
    • 同じ病気(同一傷病)で通算1年6か月までという上限があり、これは法律で決まった枠です。再発した場合や、別の傷病にあたるかどうか、支給期間の扱いをどう数えるかは、加入している健康保険(保険者)が個別に判断します。
    • 加入している健康保険が協会けんぽか、勤務先の健康保険組合か、公務員等の共済組合かで、上乗せの給付や細かな扱いが違うことがあります。

    この記事でわかること

    • 傷病手当金が支給される条件と、支給されない(もらえない)代表的なケース
    • 1日あたりの金額の計算式(被保険者期間が12か月以上の場合・12か月未満の場合)
    • 「2回目」の考え方と、支給が切れた後の選択肢

    支給される条件

    傷病手当金は、健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に加入している本人が対象の給付です。全国健康保険協会(協会けんぽ)は、次の4つの条件をすべて満たす場合に支給されると説明しています。

    (1) 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること (2) 仕事に就くことができないこと (3) 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと (4) 休業した期間について給与の支払いがないこと
    (出典:全国健康保険協会「傷病手当金について」)

    うつ病・適応障害などの精神疾患も、業務外の病気として対象になり得ます。ただし「仕事に就くことができないこと(労務不能)」は自己申告だけで決まるものではなく、協会けんぽは「労務不能であるか否かは、医師の意見及び被保険者の業務内容やその他の諸条件を考慮して判断します」としています(出典:協会けんぽ「よくあるご質問」)。診断書(意見書)の内容と、実際の仕事内容の両方が見られます。

    待期の3日間

    (3)の「連続する3日間」を待期といいます。休み始めてから連続して3日間休んだ後、4日目から支給の対象になります。待期の3日間には、有給休暇・土日祝日などの公休日も含めることができますが、連続していることが必要で、途中に出勤した日があると待期は最初からやり直しになります。待期の3日間自体には、傷病手当金は支給されません。

    もらえないケース

    条件(1)〜(4)のいずれかを欠くと、傷病手当金は支給されません。代表的なケースは次のとおりです。

    • 給与が出ている場合:休んでいる期間に会社から給与が支払われていると、条件(4)を欠くため支給されません。ただし、給与の額が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます(出典:協会けんぽ「よくあるご質問」)。
    • 労務不能と認められない場合:医師の意見や業務内容から見て「仕事に就くことができない」状態と判断されないと、条件(2)を欠き支給されません。
    • 業務上・通勤災害によるケガや病気の場合:業務外の傷病が対象のため、労災保険の対象になる場合は傷病手当金の対象外です(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)。
    • 任意継続被保険者になってから発病した場合:退職後に任意継続被保険者になった人が、その期間中に新たに発病した病気やケガについては、傷病手当金は支給されません(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)。すでに在職中から傷病手当金を受けていて、退職後も要件を満たして受け続ける「継続給付」(後述)とは別の話です。

    「うつ病だから支給されない」という制度上の除外規定はありません。もらえないケースの多くは、給与の有無・労務不能の判断・業務外かどうかという条件そのものに関わるものです。

    1日あたりの金額(計算式)

    支給される1日あたりの金額(支給開始日以前の標準報酬月額の平均を基準にした額)について、協会けんぽは次のように説明しています。

    • 被保険者期間が12か月以上ある場合:支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均÷30×2/3
    • 被保険者期間が12か月に満たない場合:次の①②のいずれか低い額を使って計算します。①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額、②協会けんぽが定める全被保険者の標準報酬月額の平均額(支給開始日が2025年3月31日以前なら30万円、2025年4月1日以降なら32万円。この額は協会けんぽが定めるもので、年度によって見直されることがあります)

    (出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)

    「入社後すぐにうつ病になった」場合のように、被保険者期間が12か月に満たないまま休職に入ると、上記②の低いほうの基準額が使われることがあり、在職期間が長い人と比べて1日あたりの額が変わる場合があります。具体的な最新の基準額は、協会けんぽの当該ページまたは加入している健康保険で確認してください。

    支給される期間(通算1年6か月)

    支給期間について、協会けんぽは「支給を開始した日から通算して1年6か月」と説明しています(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)。「通算」なので、途中で出勤して傷病手当金を受けない期間があっても、その期間は上限の1年6か月から差し引かれずに、実際に支給を受けた日数の合計で数えます(2022年1月の制度改正以降の扱い)。上限に達すると、同じ傷病について、それ以上は支給されません。

    退職後も受け取れる場合(継続給付)

    退職・資格喪失後も、次の条件を満たせば、引き続き傷病手当金を受け取れる場合があります。

    • 資格喪失日の前日(退職日)までに、継続して1年以上の被保険者期間があること
    • 資格喪失時(退職日)に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(支給の条件を満たす状態)にあること

    (出典:協会けんぽ「よくあるご質問」)

    同じ資料には、「退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません」という注意も示されています。退職日に体調が良く出勤してしまうと、退職後の継続給付が受けられなくなる可能性があるということです。継続給付は、退職後に新たに悪化した病気ではなく、在職中から続いている同じ状態が対象です。なお、健康保険組合の中には、法律で決まった給付(法定給付)に加えて独自の上乗せ(付加給付)を行っているところがあります。退職後の継続給付で付加給付も対象になるかどうかは組合の規約によって個別に異なるため、必ず加入している健康保険組合の規約・窓口で確認してください。

    健康保険組合・共済組合では扱いが違うことがある

    ここまでの条件・計算式・待期・支給期間は、協会けんぽの説明に基づくものです。勤務先が独自の健康保険組合に加入している場合、法律で決まった部分(支給要件・待期3日・通算1年6か月など)は共通ですが、健康保険組合が独自に上乗せの給付(付加給付)を行っている場合があります。公務員・私学教職員などが加入する共済組合にも同種の給付がありますが、名称や細部の規定が協会けんぽと異なる場合があります。自分がどの制度に加入しているかは、マイナ保険証(マイナポータルで確認できる資格情報)や、交付されている資格確認書に記載の保険者名で確認できます(従来の紙の健康保険証は、経過措置の終了により現在は使えません)。上乗せ給付の有無・金額・退職後の扱いは、必ず自分が加入している健康保険組合・共済組合に直接確認してください。

    「2回目」はあるのか

    同じ傷病(同一傷病)について、支給開始日から通算1年6か月という上限は変わりません。いったん職場に復帰して、その後同じ病気で再び休職した場合も、原則としては最初の支給開始日から数えた通算1年6か月の枠の中で扱われます。

    「2回目」があるかどうか、つまり再発を最初の傷病の続きとして扱うか、治ってからの新たな発症(別の傷病)として扱うかは、一律の基準では決まりません。診断名が同じでも、実際に再発なのか新たな発症なのかは自己判断できるものではなく、加入している健康保険(保険者)が個別に判断します。2回目の申請を考える場合は、まず加入している健康保険の窓口に、前回の受給状況を伝えたうえで相談してください。

    支給が切れたら(1年6か月を使い切ったら)

    通算1年6か月の上限に達すると、同じ傷病では傷病手当金は支給されなくなります。その後どうするかは、そのときの体調によって分かれます。

    • 働ける状態に回復している場合:在職中であれば通常の勤務に戻る、退職している場合は失業保険(雇用保険の基本手当)の対象になり得ます。基本手当は「就職する意思といつでも就職できる能力があり、求職活動をしていること」が条件のため、まだ働けない場合はこの条件を満たしません(詳しくは「うつ病で退職したときの失業保険」の記事)。
    • まだ働けない状態が続く場合:基本手当は「働ける状態」が前提のため、退職して病気やケガで引き続き30日以上働くことができない場合、そのままでは基本手当を受給できません。この場合は、住所地を管轄するハローワークで「受給期間の延長」の手続きをします。申請できる期間・期限はハローワークインターネットサービスの案内で確認できますが、早めに申請するほうが安全なため、働けない状態が続く見込みになった時点で早めにハローワークへ相談してください。延長の手続きをしても、働けない間は基本手当そのものは受給できません(働ける状態に戻ってから求職の申し込みをして受給を再開します)。生活費の見通しについては、市区町村の生活困窮者自立相談支援機関にも相談できます。
    • 障害の状態が続く場合:状態によっては障害年金の対象になり得ますが、対象になるかどうかは診断名だけでは決まらず、初診日や障害の程度などの要件を満たす必要があります(詳しくは「うつ病で障害年金はもらえる?」の記事)。

    いずれの選択肢に進む場合も、傷病手当金が切れる前に、加入している健康保険とハローワーク(退職している場合)の両方に、早めに相談しておくことをおすすめします。

    申請の手続き

    傷病手当金の申請には、健康保険が定める「傷病手当金支給申請書」に、本人・事業主・療養担当者(医師)それぞれの記入欄があり、医師の意見書(労務不能と判断した期間や症状についての記載)が必要です。申請書の様式や提出先は、協会けんぽの支部または加入している健康保険組合によって配布形式が異なる場合があります。必要書類・提出方法は、必ず自分が加入している健康保険の窓口またはウェブサイトで確認してください。

    動画との違い

    元にした動画では、傷病手当金について「給料の約3分の2、最大1年6か月」というおおまかな説明があり、この部分は協会けんぽの説明と一致しています。ただし動画では、支給されないケース(給与が出ている場合・労務不能と認められない場合・任意継続被保険者の期間中に発病した場合)、被保険者期間が12か月未満のときの計算方法、退職後の継続給付の具体的な条件(継続して1年以上の被保険者期間・退職日に出勤しないこと)、同じ病気で2回目を申請する場合の考え方については触れられていません。この記事では、その部分を協会けんぽの公式説明で補いました。


    困ったときの相談先

    • 傷病手当金の要件・申請書類・付加給付の有無:加入している健康保険(協会けんぽの支部、または勤務先の健康保険組合・共済組合)
    • 退職後の生活費・失業保険への切り替え:住所地を管轄するハローワーク
    • 生活費が苦しい・今後の生活が不安という相談:お住まいの市区町村の生活困窮者自立相談支援機関(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の体系」)
    • 心のつらさについて:厚生労働省「まもろうよ こころ」に、電話・SNSで相談できる窓口の一覧があります。#いのちSOS(0120-061-338・毎日24時間)、よりそいホットライン(0120-279-338・24時間)など。番号・受付時間は変更される場合があるため、公開直前に同ページで再確認してください。

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    出版社・Amazonの紹介文と目次をもとに選んだ本です。制度の数字は発行時点のものなので、最新の額は記事の出典と各窓口で確かめてください。

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    出典一覧

    • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html (2026年9月24日確認/支給要件・待期3日・計算式(12か月未満の基準額は2025年3月31日以前30万円・2025年4月1日以降32万円)・通算1年6か月・任意継続被保険者の扱いを記載)
    • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|よくあるご質問」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/ (2026年9月24日確認/労務不能の判断基準、給与の一部支給時の差額支給、資格喪失後の継続給付の条件2点、退職日に出勤した場合の扱いを記載)
    • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「マイナ保険証・資格確認書について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/mynumber_insurance_card/001/index.html (2026年9月24日確認/マイナ保険証・資格確認書の説明を記載)
    • 厚生労働省「マイナ保険証への移行、資格確認書について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html (2026年9月24日確認/従来の健康保険証は2024年12月2日以降新規発行を終了し、有効期限は2025年12月1日で終了。経過措置は2026年7月31日で終了したことを記載)
    • ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question05.html (2026年9月24日確認/基本手当の受給要件(就職の意思・能力・求職活動)を記載)
    • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html (2026年9月24日確認/病気やケガで30日以上働けない場合の受給期間延長の制度があることを記載。具体的な申請期限は本文で断定せず、窓口確認を案内)
    • 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の体系」 https://www.mhlw.go.jp/content/001267439.pdf (2026年9月24日確認)
    • 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ (2026年9月24日確認)
    • Amazonアソシエイト・プログラム運営規約に基づく開示文言(affiliate.amazon.co.jp/help、2026年9月24日確認)

    (注)健康保険組合の付加給付・共済組合の類似給付、および再発・別傷病の判断基準は、保険者ごとの個別判断によるため、この記事では一律の基準を示さず窓口確認を案内しています。

    訂正履歴

    • なし(初版・2026年9月24日)

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  • うつ病で退職したときの失業保険:受給の条件・特定理由離職者・就職困難者の違い

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    情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:合同会社フーレ。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医


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    #いのちSOS 0120-061-338(毎日24時間)/よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)


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    この記事は、ピラー記事「[仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番]」の中の失業保険(雇用保険の基本手当)を詳しく扱う記事です。休職中の人は先に「傷病手当金」の記事を、退職後に手帳の申請を考えている人は「精神障害者保健福祉手帳」の記事もあわせてご覧ください。

    まず押さえておきたい3行

    • 今すぐ働ける状態かどうかで、基本手当の扱いが変わります。
    • 病気で30日以上働けない場合は、先に「受給期間の延長」を確認してください。
    • 診断書だけで特定理由離職者・就職困難者に自動的に認定されるわけではありません。

    この記事でわかること

    • 基本手当を受け取るための基本の条件(就職する意思・能力・求職活動)と、症状で今は働けない場合の「受給期間の延長」
    • 「待期7日」と「給付制限」は別物であること(=いつからもらえるか)
    • 「特定理由離職者」と「就職困難者」は別の制度で、対象になる条件・給付制限の有無・所定給付日数(もらえる日数)がそれぞれ違うこと
    • 基本手当の金額(日額)の考え方
    • 手続きに必要な書類と相談先(ハローワーク・主治医)

    受給の条件

    基本手当は、離職しただけでは受け取れません。ハローワークインターネットサービスの説明では、次の状態にあることが必要です。

    失業(離職し、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にあること。)していること
    (出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」)

    つまり、①就職する意思があること、②いつでも就職できる能力があること、③実際に求職活動をしていること、の3つがそろって初めて「失業の状態」と認められ、基本手当の対象になります。

    うつ病・適応障害などの症状で、退職後もすぐには働ける状態にない場合は、この条件を満たさないため、退職してすぐに基本手当を受け取れるとは限りません。その場合に関係するのが、次の「受給期間の延長」です。

    働けないとき(受給期間の延長)

    基本手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職した日の翌日から1年間です。ハローワークインターネットサービスの説明では、次のとおりです。

    受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)
    (出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)

    病気やケガなどにより、引き続き30日以上働くことができない場合は、この受給期間の満了日を延長できます。

    引き続き30日以上職業に就くことができない状態の場合、受給期間の満了日を延長することができます
    (出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」Q9)

    延長できる期間は最長3年間です。申請の時期については、次のように案内されています。

    引き続き30日以上継続して職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、申請は可能です
    (出典:同上)

    申請は、住所地を管轄するハローワークの窓口のほか、郵送や代理人によることもできます。うつ病・適応障害の症状で退職後すぐに求職活動ができない場合は、まずこの「受給期間の延長」の手続きが必要かどうかを、ハローワークで確認してください。

    いつからもらえるか(待期と給付制限)

    離職の理由にかかわらず、求職の申し込みをしてから7日間は「待期」として基本手当が支給されません。これは全員に共通で、特定理由離職者になってもなくなりません。ハローワークインターネットサービスの説明では次のとおりです。

    受給資格決定日から通算して7日間を待期期間といい、その期間が満了するまでは雇用保険の基本手当は支給されません。これは、離職の理由等にかかわらず、一律に適用されます。
    (出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」)

    一方で、自己都合退職の場合は待期7日のあとに「給付制限」という期間があり、その間も支給されません。同じページによると、給付制限の期間は次のとおりです。

    • 離職日が2025年(令和7年)4月1日以降:原則1か月
    • 離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由のない自己都合離職で受給資格決定を受けている場合、または自分の重大な責任で解雇された場合:3か月

    うつ病や適応障害を理由に「特定理由離職者」と認められた場合、なくなる(生じない)のはこの給付制限であって、待期7日ではありません。元の動画で「特定理由離職者になると待機期間がなくなり、申請して7日後からすぐにお金がもらえる」という説明がありますが、正確には「待期7日は全員にある。特定理由離職者は給付制限を受けずに、待期7日の後から支給の対象になりうる」という順番です。

    なお、給付制限を受けるかどうかは離職理由の認定(特定理由離職者・特定受給資格者に当たるか)で決まるものであり、後述する「就職困難者」に該当するかどうかとは別の確認事項です。就職困難者に該当することだけを理由に給付制限がなくなるわけではありません。

    支給対象日になることと、実際に現金が振り込まれる日は別です。 ハローワークインターネットサービスの案内では、給付制限がない場合でも、実際の振込(初回の失業認定を経た支給)は求職の申し込みからおよそ1か月後になると説明されています(出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」Q5)。待期7日が明けた翌日から支給対象日にはなりますが、その日にすぐ現金が口座に入るわけではない点に注意してください。

    特定理由離職者

    特定理由離職者には大きく2つの範囲があります。ハローワークインターネットサービスの説明では次のとおりです。

    • 範囲1:期間の定めのある労働契約が満了し、本人が更新を希望したにもかかわらず更新されずに離職した場合
    • 範囲2:「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等」により離職した場合など、正当な理由のある自己都合退職

    うつ病・適応障害などを理由に退職した場合は、この範囲2に該当する可能性があります。ただし、診断名や診断書があることだけで自動的に範囲2の特定理由離職者と認定されるとは、公式の説明には書かれていません。診断書はハローワークが判断する際の資料の一つであり、最終的にどう認定されるかは、離職に至った経緯などを含めてハローワークが個別に判断します。範囲2に該当すると認められれば、給付制限を受けずに手続きが進む点が、通常の自己都合退職との違いです。

    就職困難者

    「就職困難者」は、特定理由離職者とは別の区分で、主に所定給付日数(もらえる日数)を決める枠組みです。就職困難者の範囲は雇用保険法施行規則第32条に定めがあり、身体障害者・知的障害者・精神障害者などが対象に挙げられています(この身体障害者・知的障害者・精神障害者は、いずれも障害者の雇用の促進等に関する法律第2条の定義を引用したものです)。

    このうち精神障害者については、同法の施行規則第1条の4で、①精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者、②手帳がなくても統合失調症・そううつ病(そう病及びうつ病を含む)・てんかんにかかっている者、のいずれかで、かつ「症状が安定し、就労が可能な状態にあるもの」とされています。つまり、精神障害者保健福祉手帳は確認方法の一つですが、手帳がなくても診断名等で該当し得る規定です。具体的にどちらに当てはまるか、必要な資料は何かは、ハローワークの窓口で個別に確認してください。

    就職困難者に該当するかどうかは所定給付日数の区分の話であり、給付制限を受けるかどうか(=特定理由離職者・特定受給資格者に当たるかどうかの離職理由の認定)とは別の確認事項です。就職困難者に該当すれば自動的に給付制限がなくなる、という関係にはありません。

    「うつ病で失業保険が300日」という話は、多くの場合、特定理由離職者としての優遇ではなく、この就職困難者の枠(所定給付日数)を指しています。

    特定理由離職者(範囲2・疾病等) 就職困難者
    何を決める区分か 離職理由の認定(給付制限の有無に関わる) 所定給付日数の区分
    対象になりうる人 主治医の診断・意見等を資料に、疾病・心身の障害等を理由に退職した人(該当する可能性がある。最終判断はハローワーク) 身体障害者・知的障害者・精神障害者など、雇用保険法施行規則第32条に定める範囲に当たる人(精神障害者は、手帳所持者または統合失調症・そううつ病・てんかんの人で、かつ症状が安定し就労が可能な状態にある人。最終判断はハローワーク)
    給付制限(自己都合の1か月・3か月) 受けない(正当な理由のある離職として扱われる) 就職困難者の該当だけでは決まらない。離職理由の認定によって別途確認が必要
    待期7日 ある(全員共通) ある(全員共通)
    所定給付日数 一般の離職者と同じ表が基準(90日〜150日。特定受給資格者と同じ手厚い表が適用されるのは範囲1のみ、かつ2027年3月31日までの時限措置) 45歳未満で1年以上300日、45歳以上65歳未満で360日
    受給資格に必要な被保険者期間 6か月(離職以前1年間)以上で足りる 原則どおり2年間に12か月以上(就職困難者であること自体には被保険者期間の緩和規定はなく、公式ページが緩和の対象として挙げているのは特定受給資格者・特定理由離職者のみ。これらに該当する場合はその要件が適用される)

    自分が特定理由離職者・就職困難者のどちらか(あるいは両方の要件を検討する余地があるか)は別々に確認が必要な事項です。診断書や手帳の有無を含めて、ハローワークの窓口で個別に確認してください。

    必要書類

    • 離職票(勤務先から交付される書類。求職の申し込みと受給資格の確認に必要です)
    • 本人確認書類・マイナンバー確認書類など、ハローワークの求職申し込みで案内される一般的な書類
    • このほか、離職理由や個別の事情により、ハローワークから資料の提出を求められる場合があります(例として、疾病・心身の障害等を理由とする離職の場合は主治医の診断書・意見書、就職困難者に当たる可能性がある場合は精神障害者保健福祉手帳などが挙げられますが、必要になるかどうかは人によって異なります)。必要書類は、申請前に管轄のハローワークへ確認してください。

    特定理由離職者・就職困難者のどちらに当たるかの最終的な判定は、提出した書類と面談をもとにハローワークが行います。

    給付日数

    ハローワークインターネットサービスの「基本手当の所定給付日数」ページには、次の3つの表があります。

    1. 特定受給資格者及び一部の特定理由離職者(就職困難者を除く)
    このページの注記には次のようにあります。

    特定理由離職者のうち「特定理由離職者の範囲」の1に該当する方については、受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。

    つまり、この手厚い表(30歳以上35歳未満で最大240日、45歳以上60歳未満で最大330日など)が適用されるのは、期限つき(2027年3月31日まで)範囲1(契約期間満了)に該当する人だけです。うつ病などで退職した範囲2の特定理由離職者について、この表を適用するという注記はページ内にありません。この時限措置は2027年3月31日で切れるため、この記事は2027年2月に内容を再確認します。

    2. 1及び3以外の離職者(一般の離職者)
    全年齢で、被保険者期間に応じて90日〜150日です。この表は「1及び3以外の離職者」向けの表で、特定受給資格者・一部の特定理由離職者(表1)でも就職困難者(表3)でもない人が対象になります。うつ病・適応障害などを理由とする特定理由離職者(範囲2)は表1の対象に含まれないため、この表に当てはまります。

    同じ表の注記には「特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます」とあり、範囲2の特定理由離職者は、日数の優遇ではなく受給資格を得やすくなる(必要な被保険者期間が短い)扱いになります。実際の当てはめは離職理由の認定を経て決まるため、ハローワーク窓口で確認してください。

    3. 就職困難者
    被保険者期間に応じて次のとおりです。

    年齢 被保険者期間1年未満 1年以上
    45歳未満 150日 300日
    45歳以上65歳未満 360日 360日

    いくら(基本手当日額の考え方)

    もらえる日数(所定給付日数)とは別に、1日あたりの金額(基本手当日額)があります。ハローワークインターネットサービスの説明では、次のように計算されます。

    離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割った金額(賃金日額)のおよそ50~80%

    60歳〜64歳の場合はおよそ45〜80%で、賃金の低い人ほど高い率になります。基本手当日額には上限額があり、公式ページに記載されている令和8年8月1日現在の上限額は次のとおりです(年齢によって変わり、毎年8月に改定されます)。

    年齢 上限額(令和8年8月1日現在)
    30歳未満 7,450円
    30歳以上45歳未満 8,270円
    45歳以上60歳未満 9,110円
    60歳以上65歳未満 7,830円

    実際の日額・支給総額は、離職前の賃金や年齢によって人ごとに異なります。数字は公式ページで確認できた範囲にとどめており、個別の見込み額はハローワークの窓口で確認してください。

    動画との違い

    元にした動画では「メンタル不調で医師の診断書やドクターストップがあって辞める場合、特定理由離職者として認められると、この待機期間がなくなります」と説明していますが、待期7日と給付制限の違いは前述のとおりで、なくなる(生じない)のは給付制限であり、待期7日ではありません。

    また、動画は「所定給付日数も通常より長くなる場合がある」と述べていますが、ハローワークの所定給付日数の表では、300日・360日という日数は就職困難者の表にあり、特定理由離職者の範囲2はこれとは別の表で扱われています。この記事ではそのとおりに分けて説明しました。

    さらに、動画には出てこない「退職後すぐには働けない場合の受給期間の延長」の手続きも、うつ病・適応障害で退職する人にとっては重要な確認事項です。

    この記事の条件・金額・期限は、2026年9月24日時点の公式ページの内容に基づいています。制度は改定されることがあるため、最新の内容は必ずハローワークの公式ページまたは窓口で確認してください。


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    出版社・Amazonの紹介文と目次をもとに選んだ本です。制度の数字は発行時点のものなので、最新の額は記事の出典と各窓口で確かめてください。

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    出典一覧

    訂正履歴

    • なし(初版・2026年9月24日)

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