精神障害者保健福祉手帳のメリットとデメリット:等級ごとに使えるもの

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精神障害者保健福祉手帳のメリットとデメリット:等級ごとに使えるもの

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情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:社畜眼鏡 編集部。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医


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この記事は、ピラー記事「仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番」の中の、精神障害者保健福祉手帳を詳しく扱う記事です。休職中の生活費については「傷病手当金」「失業保険」の記事、通院医療費の自己負担を軽くする制度については「自立支援医療」の記事もあわせてご覧ください。

まず押さえておきたい3行

  • 手帳は1〜3級の等級があり、税の控除・公共料金や交通機関の割引・障害者雇用枠など、使える内容が等級や事業者・自治体によって違います。
  • 割引や減免は、手帳を持っていれば自動的に受けられるものではなく、多くは自分で申請・申し出る必要があります。
  • 手帳を持っていること自体が、自動的に勤務先へ伝わる仕組みにはなっていません。

この記事でわかること

  • 手帳を申請できる条件(初診日からの期間)と、交付までの等級区分・有効期間
  • 等級ごとに違う代表的なメリット(税の控除、公共料金・交通・携帯電話の割引、障害者雇用枠)
  • 割引が「全国一律ではない」理由と、確認の仕方
  • デメリットとしてよく言われる点を、一次資料で確認できる範囲で整理
  • 申請窓口と必要書類

対象と申請できる時期

精神障害者保健福祉手帳は、厚生労働省の実施要領で「一定の精神障害の状態にあることを認定して交付する」ものとされ、精神疾患により長期にわたって日常生活または社会生活に制約がある人を対象とします。知的障害だけを理由とする場合は、この手帳の対象にはなりません(療育手帳など別の制度があります)。

申請できる時期には条件があり、実施要領では次のように定められています。

精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後における診断書に限る

(出典:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について」平成7年9月12日健医発第1132号)

つまり、初診日から6か月が経過していないと、診断書による申請はできません。障害年金の証書などを添付する方法もあります。

等級(1〜3級)と有効期間

等級は、日常生活・社会生活にどの程度の制限があるかで、次のように区分されています(実施要領より)。

等級 判定の目安(実施要領の文言)
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

等級の数字が小さいほど制限が重いとされる区分で、1級が最も重い区分です。どの等級になるかは、医師の診断書などをもとに都道府県知事または指定都市の市長(実務上は精神保健福祉センターなどでの審査)が判定するもので、自分で選べるものではありません。

手帳の有効期間は交付日から2年で、2年ごとに更新の手続き(同様の診断書などの提出)が必要です(同実施要領)。申請は、居住地の市町村を経由して都道府県知事(指定都市では市長)に提出します。

等級ごとに違う、代表的なメリット

税の控除(国税庁)

所得税・住民税の障害者控除は、手帳を持っているかどうかと、等級によって金額が変わります。所得控除であり、控除額がそのまま税額として戻ってくるわけではありません。税目によって控除額が異なり、国税庁・自治体の説明では次のとおりです。

区分 対象 所得税の控除額 住民税の控除額
障害者控除 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(2級・3級を含む) 27万円 26万円
特別障害者控除 手帳の障害等級が1級と記載されている人 40万円 30万円
同居特別障害者 特別障害者(1級)である配偶者・扶養親族と同居している場合 75万円 53万円

(出典:国税庁「No.1160 障害者控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm 、港区「所得税・住民税の障害者控除」https://www.city.minato.tokyo.jp/kenko/fukushi/shogaisha/genmen/shotoku.html )

つまり、控除額が最も大きい「特別障害者」の扱いになるのは1級だけで、2級・3級は一般の「障害者」の枠です。また同じ「障害者控除」でも所得税と住民税で金額が異なります。控除は自動的には適用されず、年末調整や確定申告で自分から申告する必要があります。

公共料金・交通機関・携帯電話の割引(全国一律ではない)

手帳を持っていると、上下水道料金の減免、公共施設の入場料免除、鉄道・バスの運賃割引、携帯電話会社の障害者向け料金プランなど、さまざまな割引・減免制度の対象になり得ます。

ただし、これらは国の制度として全国一律に決まっているわけではありません。東京都福祉局のページでは、バス運賃の割引について次のように案内されています。

バス事業者によって異なりますので、詳しくは各バス事業者へお問い合わせください

また区市町村の独自の優遇措置についても

区市町村においても、手帳をお持ちの方に優遇措置を講じている場合がありますので、お住まいの区市町村にお問い合わせください

としています(出典:東京都福祉局「精神障害者保健福祉手帳」)。同じ東京都のページでは、自動車税・軽自動車税の減免は「1級のみ」、生活保護の障害者加算は「1級及び2級のみ」と、等級で対象が分かれる例も示されています。これらは東京都の例であり、お住まいの都道府県・市区町村によって条件は異なります。

携帯電話会社の割引も同様です。NTTドコモの「ハーティ割引」、auの「スマイルハート割引」、ソフトバンクの「ハートフレンド割引」は、いずれも精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人を対象の一つとしています(出典:NTTドコモ「ハーティ割引」https://www.docomo.ne.jp/charge/hearty/ 、au「スマイルハート割引」https://www.au.com/mobile/charge/charge-discount/smile-heart/ 、ソフトバンク「ハートフレンド割引」https://www.softbank.jp/mobile/price_plan/options/heartfriend-kihon-plan/ )。3社とも店頭での手続き・手帳の提示が必要です。この記事で確認した大手3社以外の通信会社(格安SIM事業者等)については、この記事では調べていません。対象となる等級や割引内容、申し込み方法は会社ごとに異なるため、契約している(または契約を考えている)会社の公式条件を個別に確認してください。

この記事のタイトルにある「3級のメリット」「2級のメリット」は、上の表のとおり税の控除額そのものは2級・3級で同じ(所得税27万円・住民税26万円)ですが、自治体独自の減免・加算では1級のみ、または1級・2級のみが対象になる制度もあるため、「3級だから使えない」「2級までは使える」といった条件は、制度ごとに個別に確認してください。

障害者雇用枠

精神障害者保健福祉手帳の所持者は、障害者雇用率制度で企業の実雇用率の算定対象になり得ます。ただし、週の所定労働時間などによって数え方が異なります(出典:厚生労働省「事業主の方へ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html )。この「雇用率の算定対象として確認される」ことと、障害者雇用枠(いわゆるオープン就労)への応募・採用選考そのものは別の話です。算定対象として数えるには手帳等の確認が前提になりますが、応募や選考の進め方・条件は求人ごと・企業ごとに異なるため、個別の求人情報や企業への確認が必要です。

デメリットとして言われる点

更新の手間

有効期間が2年と決まっているため、2年ごとに医師の診断書などを用意して更新手続きをする必要があります(前述の実施要領)。更新を忘れると、手帳の効力が切れた期間が生じる可能性があります。

割引・控除は自動的に受けられるわけではない

前述のとおり、税の控除は年末調整・確定申告での申告が必要で、公共料金や交通機関の割引もほとんどの場合、窓口や事業者への申請・提示が必要です。「手帳を取得すれば自動的にお金が戻ってくる」という制度ではありません。

「会社に自動的に知られる」わけではないが、条件がある

「手帳を持っていることが会社に知られてしまうのでは」という不安を持つ人もいます。厚生労働省の「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」では、企業が採用後に労働者の障害の状況を把握・確認する場合、労働者全員に対して画一的な方法(社内一斉メールや書類配布など)で申告を呼びかけることを原則とし、特定の個人を狙い撃ちして照会することは想定されていません。また、障害者雇用状況の報告などのために障害に関する情報を使う場合は、その利用目的を明示したうえで本人の同意を得ることとされています(出典:厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要」https://www.mhlw.go.jp/content/000581104.pdf )。

つまり、一般雇用(いわゆるクローズ就労)で入社し、自分から申告しなければ、手帳の情報が自動的に会社へ伝わる仕組みにはなっていません。「自動的には伝わらない」ことと「会社が知る経路が一切ない」ことは別で、本人が自分から開示・提示する場面は複数あります。

場面 開示・提示が前提になるか
一般雇用(クローズ就労)で、本人が何も申告しない場合 前提にならない(自動的には伝わらない)
会社が障害者雇用率の算定対象として本人を数える場合 前提になる(雇用率の算定は手帳等の確認が根拠になるため。数え方は労働時間などで異なる)
障害者雇用枠(オープン就労)の求人に応募する場合 求人・企業ごとに異なる(応募書類で手帳の提示や写しの提出を求める企業が多いが、時期や方法は求人ごとに違うため、個別の求人情報で確認が必要)
入社後、会社の障害者雇用率算定に自分の情報を使ってほしいと本人が申し出る場合 前提になる(本人の申出・同意が必要)
年末調整・確定申告で障害者控除を自分で申告する場合 経理・年末調整の担当者には申告内容が伝わる(会社の障害者雇用率算定とは別の話)

会社が本人の意思に反して手帳の有無を詮索したり、他の目的で取得した個人情報から手帳の有無を推測したりすることは、このガイドラインが想定する適正な取扱いではありません。ただし、これはガイドラインが示す原則であり、個々の職場での実際の運用まで保証するものではない点にご注意ください。

手帳の名称・等級が書類に残る

手帳そのものに「精神障害者保健福祉手帳」という名称と等級が記載されるため、提示する場面では、その名称と等級が相手に伝わります。写真付きの手帳を提示する場面(交通機関の窓口や施設の受付など)では、この点も踏まえて利用するかどうかを選べます。

申請窓口・必要書類

  • 申請先:居住地の市町村の障害福祉担当窓口(市町村を経由して都道府県知事、指定都市では市長に提出)
  • 必要書類の例:申請書、医師の診断書(所定様式。初診日から6か月経過後のもの)または年金証書等の写し、写真(縦4cm×横3cm、1年以内撮影)
  • 具体的な必要書類・提出先は、お住まいの市区町村によって窓口の名称や運用が異なるため、事前に確認してください。

元にした動画

この記事は、YouTubeチャンネル「社畜眼鏡」の次の動画をもとにしています。動画の説明と公式の資料が違う点は、この下で書いています。

動画との違い

元にした動画(辞める前に確認する制度をまとめた回)では、手帳を使えば公共料金や交通機関の割引が受けられるという説明がありますが、前述のとおり、これらの割引は国が全国一律に定めた制度ではなく、事業者・自治体ごとに内容が異なります。「手帳があれば必ずこの割引が使える」と読める説明にならないよう、この記事では東京都の例を示したうえで、お住まいの自治体・利用する事業者に個別の確認が必要であることを明記しています。

この記事に記載した条件・金額・制度は、いずれも2026年9月24日時点で確認できた内容です。制度は改定されることがあるため、最新の内容は必ず市区町村の窓口または各制度の公式ページで確認してください。


相談先

  • 手帳の申請・等級・更新について:お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口、精神保健福祉センター
  • 税の控除について:税務署、または国税庁「タックスアンサー」
  • 障害者雇用枠での就労について:ハローワークの専門援助部門、地域障害者職業センター

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出典一覧

訂正履歴

  • なし(初版・2026年9月24日)
  • 2026年10月23日:目次を足しました(内容の訂正ではありません)。

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