社畜眼鏡のお金と制度ノート

休む・辞める前に確かめること

うつ病で休むときの傷病手当金:もらえないケースと、2回目はあるのか・切れた後

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情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:合同会社フーレ。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医

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この記事は、ピラー記事「仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番」の中の傷病手当金を詳しく扱う記事です。退職して失業保険に切り替える人は「うつ病で退職したときの失業保険」の記事も、休職が長引きそうな人は「生活防衛資金はいくら?」の記事もあわせてご覧ください。

まず押さえておきたい3行

  • 傷病手当金は「給与が出ていない・働けない・連続3日を含み4日以上休んだ」ことなどが条件で、条件を欠くと支給されません。
  • 同じ病気(同一傷病)で通算1年6か月までという上限があり、これは法律で決まった枠です。再発した場合や、別の傷病にあたるかどうか、支給期間の扱いをどう数えるかは、加入している健康保険(保険者)が個別に判断します。
  • 加入している健康保険が協会けんぽか、勤務先の健康保険組合か、公務員等の共済組合かで、上乗せの給付や細かな扱いが違うことがあります。

この記事でわかること

  • 傷病手当金が支給される条件と、支給されない(もらえない)代表的なケース
  • 1日あたりの金額の計算式(被保険者期間が12か月以上の場合・12か月未満の場合)
  • 「2回目」の考え方と、支給が切れた後の選択肢

支給される条件

傷病手当金は、健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に加入している本人が対象の給付です。全国健康保険協会(協会けんぽ)は、次の4つの条件をすべて満たす場合に支給されると説明しています。

(1) 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること (2) 仕事に就くことができないこと (3) 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと (4) 休業した期間について給与の支払いがないこと
(出典:全国健康保険協会「傷病手当金について」)

うつ病・適応障害などの精神疾患も、業務外の病気として対象になり得ます。ただし「仕事に就くことができないこと(労務不能)」は自己申告だけで決まるものではなく、協会けんぽは「労務不能であるか否かは、医師の意見及び被保険者の業務内容やその他の諸条件を考慮して判断します」としています(出典:協会けんぽ「よくあるご質問」)。診断書(意見書)の内容と、実際の仕事内容の両方が見られます。

待期の3日間

(3)の「連続する3日間」を待期といいます。休み始めてから連続して3日間休んだ後、4日目から支給の対象になります。待期の3日間には、有給休暇・土日祝日などの公休日も含めることができますが、連続していることが必要で、途中に出勤した日があると待期は最初からやり直しになります。待期の3日間自体には、傷病手当金は支給されません。

もらえないケース

条件(1)〜(4)のいずれかを欠くと、傷病手当金は支給されません。代表的なケースは次のとおりです。

  • 給与が出ている場合:休んでいる期間に会社から給与が支払われていると、条件(4)を欠くため支給されません。ただし、給与の額が傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます(出典:協会けんぽ「よくあるご質問」)。
  • 労務不能と認められない場合:医師の意見や業務内容から見て「仕事に就くことができない」状態と判断されないと、条件(2)を欠き支給されません。
  • 業務上・通勤災害によるケガや病気の場合:業務外の傷病が対象のため、労災保険の対象になる場合は傷病手当金の対象外です(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)。
  • 任意継続被保険者になってから発病した場合:退職後に任意継続被保険者になった人が、その期間中に新たに発病した病気やケガについては、傷病手当金は支給されません(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)。すでに在職中から傷病手当金を受けていて、退職後も要件を満たして受け続ける「継続給付」(後述)とは別の話です。

「うつ病だから支給されない」という制度上の除外規定はありません。もらえないケースの多くは、給与の有無・労務不能の判断・業務外かどうかという条件そのものに関わるものです。

1日あたりの金額(計算式)

支給される1日あたりの金額(支給開始日以前の標準報酬月額の平均を基準にした額)について、協会けんぽは次のように説明しています。

  • 被保険者期間が12か月以上ある場合:支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均÷30×2/3
  • 被保険者期間が12か月に満たない場合:次の①②のいずれか低い額を使って計算します。①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額、②協会けんぽが定める全被保険者の標準報酬月額の平均額(支給開始日が2025年3月31日以前なら30万円、2025年4月1日以降なら32万円。この額は協会けんぽが定めるもので、年度によって見直されることがあります)

(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)

「入社後すぐにうつ病になった」場合のように、被保険者期間が12か月に満たないまま休職に入ると、上記②の低いほうの基準額が使われることがあり、在職期間が長い人と比べて1日あたりの額が変わる場合があります。具体的な最新の基準額は、協会けんぽの当該ページまたは加入している健康保険で確認してください。

支給される期間(通算1年6か月)

支給期間について、協会けんぽは「支給を開始した日から通算して1年6か月」と説明しています(出典:協会けんぽ「傷病手当金について」)。「通算」なので、途中で出勤して傷病手当金を受けない期間があっても、その期間は上限の1年6か月から差し引かれずに、実際に支給を受けた日数の合計で数えます(2022年1月の制度改正以降の扱い)。上限に達すると、同じ傷病について、それ以上は支給されません。

退職後も受け取れる場合(継続給付)

退職・資格喪失後も、次の条件を満たせば、引き続き傷病手当金を受け取れる場合があります。

  • 資格喪失日の前日(退職日)までに、継続して1年以上の被保険者期間があること
  • 資格喪失時(退職日)に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(支給の条件を満たす状態)にあること

(出典:協会けんぽ「よくあるご質問」)

同じ資料には、「退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません」という注意も示されています。退職日に体調が良く出勤してしまうと、退職後の継続給付が受けられなくなる可能性があるということです。継続給付は、退職後に新たに悪化した病気ではなく、在職中から続いている同じ状態が対象です。なお、健康保険組合の中には、法律で決まった給付(法定給付)に加えて独自の上乗せ(付加給付)を行っているところがあります。退職後の継続給付で付加給付も対象になるかどうかは組合の規約によって個別に異なるため、必ず加入している健康保険組合の規約・窓口で確認してください。

健康保険組合・共済組合では扱いが違うことがある

ここまでの条件・計算式・待期・支給期間は、協会けんぽの説明に基づくものです。勤務先が独自の健康保険組合に加入している場合、法律で決まった部分(支給要件・待期3日・通算1年6か月など)は共通ですが、健康保険組合が独自に上乗せの給付(付加給付)を行っている場合があります。公務員・私学教職員などが加入する共済組合にも同種の給付がありますが、名称や細部の規定が協会けんぽと異なる場合があります。自分がどの制度に加入しているかは、マイナ保険証(マイナポータルで確認できる資格情報)や、交付されている資格確認書に記載の保険者名で確認できます(従来の紙の健康保険証は、経過措置の終了により現在は使えません)。上乗せ給付の有無・金額・退職後の扱いは、必ず自分が加入している健康保険組合・共済組合に直接確認してください。

「2回目」はあるのか

同じ傷病(同一傷病)について、支給開始日から通算1年6か月という上限は変わりません。いったん職場に復帰して、その後同じ病気で再び休職した場合も、原則としては最初の支給開始日から数えた通算1年6か月の枠の中で扱われます。

「2回目」があるかどうか、つまり再発を最初の傷病の続きとして扱うか、治ってからの新たな発症(別の傷病)として扱うかは、一律の基準では決まりません。診断名が同じでも、実際に再発なのか新たな発症なのかは自己判断できるものではなく、加入している健康保険(保険者)が個別に判断します。2回目の申請を考える場合は、まず加入している健康保険の窓口に、前回の受給状況を伝えたうえで相談してください。

支給が切れたら(1年6か月を使い切ったら)

通算1年6か月の上限に達すると、同じ傷病では傷病手当金は支給されなくなります。その後どうするかは、そのときの体調によって分かれます。

  • 働ける状態に回復している場合:在職中であれば通常の勤務に戻る、退職している場合は失業保険(雇用保険の基本手当)の対象になり得ます。基本手当は「就職する意思といつでも就職できる能力があり、求職活動をしていること」が条件のため、まだ働けない場合はこの条件を満たしません(詳しくは「うつ病で退職したときの失業保険」の記事)。
  • まだ働けない状態が続く場合:基本手当は「働ける状態」が前提のため、退職して病気やケガで引き続き30日以上働くことができない場合、そのままでは基本手当を受給できません。この場合は、住所地を管轄するハローワークで「受給期間の延長」の手続きをします。申請できる期間・期限はハローワークインターネットサービスの案内で確認できますが、早めに申請するほうが安全なため、働けない状態が続く見込みになった時点で早めにハローワークへ相談してください。延長の手続きをしても、働けない間は基本手当そのものは受給できません(働ける状態に戻ってから求職の申し込みをして受給を再開します)。生活費の見通しについては、市区町村の生活困窮者自立相談支援機関にも相談できます。
  • 障害の状態が続く場合:状態によっては障害年金の対象になり得ますが、対象になるかどうかは診断名だけでは決まらず、初診日や障害の程度などの要件を満たす必要があります(詳しくは「うつ病で障害年金はもらえる?」の記事)。

いずれの選択肢に進む場合も、傷病手当金が切れる前に、加入している健康保険とハローワーク(退職している場合)の両方に、早めに相談しておくことをおすすめします。

申請の手続き

傷病手当金の申請には、健康保険が定める「傷病手当金支給申請書」に、本人・事業主・療養担当者(医師)それぞれの記入欄があり、医師の意見書(労務不能と判断した期間や症状についての記載)が必要です。申請書の様式や提出先は、協会けんぽの支部または加入している健康保険組合によって配布形式が異なる場合があります。必要書類・提出方法は、必ず自分が加入している健康保険の窓口またはウェブサイトで確認してください。

動画との違い

元にした動画では、傷病手当金について「給料の約3分の2、最大1年6か月」というおおまかな説明があり、この部分は協会けんぽの説明と一致しています。ただし動画では、支給されないケース(給与が出ている場合・労務不能と認められない場合・任意継続被保険者の期間中に発病した場合)、被保険者期間が12か月未満のときの計算方法、退職後の継続給付の具体的な条件(継続して1年以上の被保険者期間・退職日に出勤しないこと)、同じ病気で2回目を申請する場合の考え方については触れられていません。この記事では、その部分を協会けんぽの公式説明で補いました。


困ったときの相談先

  • 傷病手当金の要件・申請書類・付加給付の有無:加入している健康保険(協会けんぽの支部、または勤務先の健康保険組合・共済組合)
  • 退職後の生活費・失業保険への切り替え:住所地を管轄するハローワーク
  • 生活費が苦しい・今後の生活が不安という相談:お住まいの市区町村の生活困窮者自立相談支援機関(出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の体系」)
  • 心のつらさについて:厚生労働省「まもろうよ こころ」に、電話・SNSで相談できる窓口の一覧があります。#いのちSOS(0120-061-338・毎日24時間)、よりそいホットライン(0120-279-338・24時間)など。番号・受付時間は変更される場合があるため、公開直前に同ページで再確認してください。

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出版社・Amazonの紹介文と目次をもとに選んだ本です。制度の数字は発行時点のものなので、最新の額は記事の出典と各窓口で確かめてください。

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出典一覧

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html (2026年9月24日確認/支給要件・待期3日・計算式(12か月未満の基準額は2025年3月31日以前30万円・2025年4月1日以降32万円)・通算1年6か月・任意継続被保険者の扱いを記載)
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|よくあるご質問」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/ (2026年9月24日確認/労務不能の判断基準、給与の一部支給時の差額支給、資格喪失後の継続給付の条件2点、退職日に出勤した場合の扱いを記載)
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「マイナ保険証・資格確認書について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/mynumber_insurance_card/001/index.html (2026年9月24日確認/マイナ保険証・資格確認書の説明を記載)
  • 厚生労働省「マイナ保険証への移行、資格確認書について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html (2026年9月24日確認/従来の健康保険証は2024年12月2日以降新規発行を終了し、有効期限は2025年12月1日で終了。経過措置は2026年7月31日で終了したことを記載)
  • ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question05.html (2026年9月24日確認/基本手当の受給要件(就職の意思・能力・求職活動)を記載)
  • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html (2026年9月24日確認/病気やケガで30日以上働けない場合の受給期間延長の制度があることを記載。具体的な申請期限は本文で断定せず、窓口確認を案内)
  • 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度の体系」 https://www.mhlw.go.jp/content/001267439.pdf (2026年9月24日確認)
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ (2026年9月24日確認)
  • Amazonアソシエイト・プログラム運営規約に基づく開示文言(affiliate.amazon.co.jp/help、2026年9月24日確認)

(注)健康保険組合の付加給付・共済組合の類似給付、および再発・別傷病の判断基準は、保険者ごとの個別判断によるため、この記事では一律の基準を示さず窓口確認を案内しています。

訂正履歴

  • なし(初版・2026年9月24日)

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