社畜眼鏡のお金と制度ノート

休む・辞める前に確かめること

うつ病で退職したときの失業保険:受給の条件・特定理由離職者・就職困難者の違い

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うつ病で退職したときの失業保険:受給の条件・特定理由離職者・就職困難者の違い

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情報の基準日:2026年9月24日/下書き:AI、編集:合同会社フーレ。制度の最終判断は各窓口、医療の判断は主治医


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この記事は、ピラー記事「[仕事辞めたいけどお金がないときに、辞める前に確かめる制度5つと使う順番]」の中の失業保険(雇用保険の基本手当)を詳しく扱う記事です。休職中の人は先に「傷病手当金」の記事を、退職後に手帳の申請を考えている人は「精神障害者保健福祉手帳」の記事もあわせてご覧ください。

まず押さえておきたい3行

  • 今すぐ働ける状態かどうかで、基本手当の扱いが変わります。
  • 病気で30日以上働けない場合は、先に「受給期間の延長」を確認してください。
  • 診断書だけで特定理由離職者・就職困難者に自動的に認定されるわけではありません。

この記事でわかること

  • 基本手当を受け取るための基本の条件(就職する意思・能力・求職活動)と、症状で今は働けない場合の「受給期間の延長」
  • 「待期7日」と「給付制限」は別物であること(=いつからもらえるか)
  • 「特定理由離職者」と「就職困難者」は別の制度で、対象になる条件・給付制限の有無・所定給付日数(もらえる日数)がそれぞれ違うこと
  • 基本手当の金額(日額)の考え方
  • 手続きに必要な書類と相談先(ハローワーク・主治医)

受給の条件

基本手当は、離職しただけでは受け取れません。ハローワークインターネットサービスの説明では、次の状態にあることが必要です。

失業(離職し、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にあること。)していること (出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」)

つまり、①就職する意思があること、②いつでも就職できる能力があること、③実際に求職活動をしていること、の3つがそろって初めて「失業の状態」と認められ、基本手当の対象になります。

うつ病・適応障害などの症状で、退職後もすぐには働ける状態にない場合は、この条件を満たさないため、退職してすぐに基本手当を受け取れるとは限りません。その場合に関係するのが、次の「受給期間の延長」です。

働けないとき(受給期間の延長)

基本手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職した日の翌日から1年間です。ハローワークインターネットサービスの説明では、次のとおりです。

受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日) (出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)

病気やケガなどにより、引き続き30日以上働くことができない場合は、この受給期間の満了日を延長できます。

引き続き30日以上職業に就くことができない状態の場合、受給期間の満了日を延長することができます (出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」Q9)

延長できる期間は最長3年間です。申請の時期については、次のように案内されています。

引き続き30日以上継続して職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期にしていただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、申請は可能です (出典:同上)

申請は、住所地を管轄するハローワークの窓口のほか、郵送や代理人によることもできます。うつ病・適応障害の症状で退職後すぐに求職活動ができない場合は、まずこの「受給期間の延長」の手続きが必要かどうかを、ハローワークで確認してください。

いつからもらえるか(待期と給付制限)

離職の理由にかかわらず、求職の申し込みをしてから7日間は「待期」として基本手当が支給されません。これは全員に共通で、特定理由離職者になってもなくなりません。ハローワークインターネットサービスの説明では次のとおりです。

受給資格決定日から通算して7日間を待期期間といい、その期間が満了するまでは雇用保険の基本手当は支給されません。これは、離職の理由等にかかわらず、一律に適用されます。 (出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」)

一方で、自己都合退職の場合は待期7日のあとに「給付制限」という期間があり、その間も支給されません。同じページによると、給付制限の期間は次のとおりです。

  • 離職日が2025年(令和7年)4月1日以降:原則1か月
  • 離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由のない自己都合離職で受給資格決定を受けている場合、または自分の重大な責任で解雇された場合:3か月

うつ病や適応障害を理由に「特定理由離職者」と認められた場合、なくなる(生じない)のはこの給付制限であって、待期7日ではありません。元の動画で「特定理由離職者になると待機期間がなくなり、申請して7日後からすぐにお金がもらえる」という説明がありますが、正確には「待期7日は全員にある。特定理由離職者は給付制限を受けずに、待期7日の後から支給の対象になりうる」という順番です。

なお、給付制限を受けるかどうかは離職理由の認定(特定理由離職者・特定受給資格者に当たるか)で決まるものであり、後述する「就職困難者」に該当するかどうかとは別の確認事項です。就職困難者に該当することだけを理由に給付制限がなくなるわけではありません。

支給対象日になることと、実際に現金が振り込まれる日は別です。 ハローワークインターネットサービスの案内では、給付制限がない場合でも、実際の振込(初回の失業認定を経た支給)は求職の申し込みからおよそ1か月後になると説明されています(出典:ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問」Q5)。待期7日が明けた翌日から支給対象日にはなりますが、その日にすぐ現金が口座に入るわけではない点に注意してください。

特定理由離職者

特定理由離職者には大きく2つの範囲があります。ハローワークインターネットサービスの説明では次のとおりです。

  • 範囲1:期間の定めのある労働契約が満了し、本人が更新を希望したにもかかわらず更新されずに離職した場合
  • 範囲2:「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等」により離職した場合など、正当な理由のある自己都合退職

うつ病・適応障害などを理由に退職した場合は、この範囲2に該当する可能性があります。ただし、診断名や診断書があることだけで自動的に範囲2の特定理由離職者と認定されるとは、公式の説明には書かれていません。診断書はハローワークが判断する際の資料の一つであり、最終的にどう認定されるかは、離職に至った経緯などを含めてハローワークが個別に判断します。範囲2に該当すると認められれば、給付制限を受けずに手続きが進む点が、通常の自己都合退職との違いです。

就職困難者

「就職困難者」は、特定理由離職者とは別の区分で、主に所定給付日数(もらえる日数)を決める枠組みです。就職困難者の範囲は雇用保険法施行規則第32条に定めがあり、身体障害者・知的障害者・精神障害者などが対象に挙げられています(この身体障害者・知的障害者・精神障害者は、いずれも障害者の雇用の促進等に関する法律第2条の定義を引用したものです)。

このうち精神障害者については、同法の施行規則第1条の4で、①精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者、②手帳がなくても統合失調症・そううつ病(そう病及びうつ病を含む)・てんかんにかかっている者、のいずれかで、かつ「症状が安定し、就労が可能な状態にあるもの」とされています。つまり、精神障害者保健福祉手帳は確認方法の一つですが、手帳がなくても診断名等で該当し得る規定です。具体的にどちらに当てはまるか、必要な資料は何かは、ハローワークの窓口で個別に確認してください。

就職困難者に該当するかどうかは所定給付日数の区分の話であり、給付制限を受けるかどうか(=特定理由離職者・特定受給資格者に当たるかどうかの離職理由の認定)とは別の確認事項です。就職困難者に該当すれば自動的に給付制限がなくなる、という関係にはありません。

「うつ病で失業保険が300日」という話は、多くの場合、特定理由離職者としての優遇ではなく、この就職困難者の枠(所定給付日数)を指しています。

特定理由離職者(範囲2・疾病等) 就職困難者
何を決める区分か 離職理由の認定(給付制限の有無に関わる) 所定給付日数の区分
対象になりうる人 主治医の診断・意見等を資料に、疾病・心身の障害等を理由に退職した人(該当する可能性がある。最終判断はハローワーク) 身体障害者・知的障害者・精神障害者など、雇用保険法施行規則第32条に定める範囲に当たる人(精神障害者は、手帳所持者または統合失調症・そううつ病・てんかんの人で、かつ症状が安定し就労が可能な状態にある人。最終判断はハローワーク)
給付制限(自己都合の1か月・3か月) 受けない(正当な理由のある離職として扱われる) 就職困難者の該当だけでは決まらない。離職理由の認定によって別途確認が必要
待期7日 ある(全員共通) ある(全員共通)
所定給付日数 一般の離職者と同じ表が基準(90日〜150日。特定受給資格者と同じ手厚い表が適用されるのは範囲1のみ、かつ2027年3月31日までの時限措置) 45歳未満で1年以上300日、45歳以上65歳未満で360日
受給資格に必要な被保険者期間 6か月(離職以前1年間)以上で足りる 原則どおり2年間に12か月以上(就職困難者であること自体には被保険者期間の緩和規定はなく、公式ページが緩和の対象として挙げているのは特定受給資格者・特定理由離職者のみ。これらに該当する場合はその要件が適用される)

自分が特定理由離職者・就職困難者のどちらか(あるいは両方の要件を検討する余地があるか)は別々に確認が必要な事項です。診断書や手帳の有無を含めて、ハローワークの窓口で個別に確認してください。

必要書類

  • 離職票(勤務先から交付される書類。求職の申し込みと受給資格の確認に必要です)
  • 本人確認書類・マイナンバー確認書類など、ハローワークの求職申し込みで案内される一般的な書類
  • このほか、離職理由や個別の事情により、ハローワークから資料の提出を求められる場合があります(例として、疾病・心身の障害等を理由とする離職の場合は主治医の診断書・意見書、就職困難者に当たる可能性がある場合は精神障害者保健福祉手帳などが挙げられますが、必要になるかどうかは人によって異なります)。必要書類は、申請前に管轄のハローワークへ確認してください。

特定理由離職者・就職困難者のどちらに当たるかの最終的な判定は、提出した書類と面談をもとにハローワークが行います。

給付日数

ハローワークインターネットサービスの「基本手当の所定給付日数」ページには、次の3つの表があります。

1. 特定受給資格者及び一部の特定理由離職者(就職困難者を除く) このページの注記には次のようにあります。

特定理由離職者のうち「特定理由離職者の範囲」の1に該当する方については、受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。

つまり、この手厚い表(30歳以上35歳未満で最大240日、45歳以上60歳未満で最大330日など)が適用されるのは、期限つき(2027年3月31日まで)範囲1(契約期間満了)に該当する人だけです。うつ病などで退職した範囲2の特定理由離職者について、この表を適用するという注記はページ内にありません。この時限措置は2027年3月31日で切れるため、この記事は2027年2月に内容を再確認します。

2. 1及び3以外の離職者(一般の離職者) 全年齢で、被保険者期間に応じて90日〜150日です。この表は「1及び3以外の離職者」向けの表で、特定受給資格者・一部の特定理由離職者(表1)でも就職困難者(表3)でもない人が対象になります。うつ病・適応障害などを理由とする特定理由離職者(範囲2)は表1の対象に含まれないため、この表に当てはまります。

同じ表の注記には「特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます」とあり、範囲2の特定理由離職者は、日数の優遇ではなく受給資格を得やすくなる(必要な被保険者期間が短い)扱いになります。実際の当てはめは離職理由の認定を経て決まるため、ハローワーク窓口で確認してください。

3. 就職困難者 被保険者期間に応じて次のとおりです。

年齢 被保険者期間1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日 360日

いくら(基本手当日額の考え方)

もらえる日数(所定給付日数)とは別に、1日あたりの金額(基本手当日額)があります。ハローワークインターネットサービスの説明では、次のように計算されます。

離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割った金額(賃金日額)のおよそ50~80%

60歳〜64歳の場合はおよそ45〜80%で、賃金の低い人ほど高い率になります。基本手当日額には上限額があり、公式ページに記載されている令和8年8月1日現在の上限額は次のとおりです(年齢によって変わり、毎年8月に改定されます)。

年齢 上限額(令和8年8月1日現在)
30歳未満 7,450円
30歳以上45歳未満 8,270円
45歳以上60歳未満 9,110円
60歳以上65歳未満 7,830円

実際の日額・支給総額は、離職前の賃金や年齢によって人ごとに異なります。数字は公式ページで確認できた範囲にとどめており、個別の見込み額はハローワークの窓口で確認してください。

元にした動画

この記事は、YouTubeチャンネル「社畜眼鏡」の次の動画をもとにしています。動画の説明と公式の資料が違う点は、この下で書いています。

動画との違い

元にした動画では「メンタル不調で医師の診断書やドクターストップがあって辞める場合、特定理由離職者として認められると、この待機期間がなくなります」と説明していますが、待期7日と給付制限の違いは前述のとおりで、なくなる(生じない)のは給付制限であり、待期7日ではありません。

また、動画は「所定給付日数も通常より長くなる場合がある」と述べていますが、ハローワークの所定給付日数の表では、300日・360日という日数は就職困難者の表にあり、特定理由離職者の範囲2はこれとは別の表で扱われています。この記事ではそのとおりに分けて説明しました。

さらに、動画には出てこない「退職後すぐには働けない場合の受給期間の延長」の手続きも、うつ病・適応障害で退職する人にとっては重要な確認事項です。

この記事の条件・金額・期限は、2026年9月24日時点の公式ページの内容に基づいています。制度は改定されることがあるため、最新の内容は必ずハローワークの公式ページまたは窓口で確認してください。


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出版社・Amazonの紹介文と目次をもとに選んだ本です。制度の数字は発行時点のものなので、最新の額は記事の出典と各窓口で確かめてください。

Amazonのアソシエイトとして、長尾剛(このサイトを運営する合同会社フーレの代表)は適格販売により収入を得ています。



出典一覧

訂正履歴

  • なし(初版・2026年9月24日)

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